訳者あとがき
Sho Aoyagi(青柳庄一)氏の『CPR for Relationships(人間関係のための救急蘇生法)』に初めて出会ったのは、2017年の秋のことでした。
看護倫理に関する国際学会でお知り合いになる機会を得たAnne J. Davis先生のサンフランシスコのお宅を訪問させていただいたときのことでした。
「とても良い本があるので、訳してみる気はないか」とのことで、本を頂戴しました。
Anne先生は、カリフォルニア大学サンフランシスコ校名誉教授であり、看護倫理学の分野で国際的にリーダーシップを発揮されてこられた高名な方で、
私を含め多くの方が心から尊敬の念を抱く看護学の教育者であり研究者でもある方です。
また、長野県看護大学で6年半にわたり教鞭をとられ、長野県看護大学の名誉教授の称号も受けられ、大変な親日家、知日家でもいらっしゃいます。
そのようなAnne先生に推薦された本であり、帰国するとすぐに英語で書かれたこの本を読んでみました。
読んでみると、私たちの日常の人間関係のさまざまな対立を解決するための具体的な知恵に満ちあふれた素晴らしい本であると感動しました。
そこで、当時同僚であった、東京女子医科大学の木村みどり先生と濱田由紀先生のお力もお借りして、翻訳を仕上げました。
その後、ぜひこの本を出版したいと思い、知り合いのつてをたどって、出版社を紹介してもらったのですが、
「この原稿はアメリカ人向けの例が多すぎて、日本の読者には受け入れられづらい。
例えば介護など、日本の読者がもっと興味をもてるように加筆修正したうえでなら出版OK」との返事をいただきました。
その旨をSho氏にお伝えしたところ、「日本の読者に自分のメソッドが広まりやすくなるなら、それで構わない」と了承をいただきました。
そこで、Sho氏のご親戚でもある安田豊様を全体の企画者として、長野県看護大学の田中真木先生に日本の介護事情について加筆をお願いし、
さらにはライターである三村真祐美様に日本の読者にとって読みやすい構成・文章となるよう全体をリライトしていただき、
『調和の処方箋』として、みらいパブリッシングから、2021年4月に出版の運びとなりました。
しかし、オリジナル本の翻訳も、そのまま眠らせておくのはもったいないということで、安田豊様のご厚意により、このwebサイトにアップロードしていただくことになりました。
それも、もともとのSho氏の著書における人間関係の対立の予防と解決のための基本手法を、より多くの方に知っていただきたいという願いによるものです。
日本の読者の方々が、本ウエブサイトから、家庭や職場など日常のさまざまな場面での人間関係の対立を解決し、調和へと至るための糸口をつかまれることを願ってやみません。
2021年2月
訳者を代表して
田中 美恵子
Anne J. Davis先生と、訳者田中