Step 6 同意を確認する
この章の前にあった各ステップは、対立している人とより健全な関係を構築するうえで不可欠である。
尊敬と安心感が確立されていれば、互いに同意し、調和につながる解決策に至りやすくなることだろう。
解決策に同意したなら、何が同意されたのか明確に述べ、誰が、何について、いつ、どのように同意したのかという点をはっきりさせなさい。
具体的には、誰がどのような役割を果たし、何がいつどのように達成されるのかについて明確にしなさい。
たとえば、「さあ私たちは解決策に同意しました。同意されていることは何なのかはっきりとさせましょう。 私は、今後6カ月、毎月275ドル、6%の利息で(誰に、何を)払います。 忘れないようにするために、毎月15日までに私(誰)に請求書を送ってください。 私は毎月末(いつ)までに支払って、小切手にして郵送します(どのように)」といった具合である。
正式に契約書を作成しサインをするか、少なくとも、主なポイントを詳細に記述してメールで送っておくのが賢明かもしれない。
また、2週間から4週間したら、解決策が上手くいっているかを互いにチェックし合うのも良い。ただし、チェックする日付を必ず決めなさい。
もし予期しない理由で契約不履行が生じてしまったなら、相手に即刻連絡し、説明しなさい。
もしあなたが契約を破ったままでいると、信頼感の喪失につながり、対立を再度悪化させてしまうことだろう。
相手に契約について再交渉は可能かどうか尋ねなさい。たとえば、毎月の支払い額を下げて、その代わりにもっと高い利息を払うというように。
しかし契約の頻繁な再交渉は、信頼できない人間であると思われて対立を生むので、気を付けなければならない。
やるつもりだと言ったことを履行することによって相手との信頼関係が構築される。この大切さを忘れると、ここまで注いだすべての努力を台無しにしてしまうことになる。
よくある問題は、契約を履行できない時に外聞が悪いと思うことである。そのため、状況から逃げたり、その状況を隠してしまったりする。
こうした行為によって、相手は裏切られたと感じ失望するので事態はさらに悪化してしまう。
信頼感の喪失を防ぐために、契約通りに履行することに問題が生じたなら、勇気を出して率直に話しなさい。
一連の行為の締めくくりとして、この経験から学んだことを共有しなさい。たとえば、「私が学んだことは、自分の感情を抑え込まないで、むしろ表現することが最善だということです。
でないと、恨みを抱いて内向きになったり攻撃的になったりしてしまうでしょう。」学んだことを口にしてみることによって、学んだ教訓をはっきりと覚えておけるようになるのである。
また締めくくりの一部として、2人の間ですべてが順調に行っているか確認しなさい。
「私たちの件が大丈夫か最後にもう一度確認したいんです。他に言っておかなければならないことはありますか?」ここが相手にとって長くひっかかっている懸念を口に出す最後のチャンスである。
もしその人が心にまだ何かわだかまりがあるなら、対立解決のプロセスはまだ完了していないということである。
その時は、その人の言いたいことを聞いて、まだ話していないことを引き出さなければならない。
そして、ステップ3で述べたように、こうした感情を受け入れなければならない。
もし感情や問題が口に出されないままになっていたら、相手はあなたに対して否定的な思いを膨らませ激しく反応するようになるかもしれない。
そして、契約不履行があるために内向きになったりあるいは攻撃的にふるまったりするかもしれない。
もし相手が最近の状況と関係のないことを持ち出してきたなら、境界線を引いて、それは後で話し合う必要のある別の問題だと言いなさい。
しかし、この別の問題が片づけられるまでは(それは相手がかなり以前に起きた問題についてずっと引きずってきた恨みかもしれない)水面下には緊張があることだろう。
もし最後のチェックの後でさらなる問題が出てこなければなければ、互いに最終ステップに踏み出そう。
相手の困難な仕事をやり遂げようとする意志を認めるのがそのためのよい方法である。
たとえば、「この困難な状況に対して、私と一緒に取り組みたいと言ってくれてありがとうございます。 あなたの深い友情に感謝します。この経験を通して自分自身が成長したことを嬉しく思います。 そして、それを乗り越えることによって私たちの友情がさらに強いものになることを期待しています」といった具合にである。
「同意を確認する」の要点
このステップで述べたポイントに従えば、今後、誤解を防ぐことになり、合意のもとでの契約に対して、互いに責任をとることができるようになるだろう。
- 両者がどの解決策に同意したのかをはっきりと具体的に述べなさい。
- 誰が、何を、いつ、どのようにかを確認しなさい。
- 契約書の下書きを書き、両者が同意したらサインをしなさい。
- 対立を通して学んだ結果を共有し、相手が進んで参加してくれたことに感謝しなさい。これで一連のプロセスは終わりを迎える。
さて、もう少しで終わりだ! 残っているのは、ステップ7「行動を起こす」である。 ここで両者が同意したことを履行することになる。